俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
お互いに無言のまま、エレベーターに乗り込んだ。
最上階に到着し、片手で玄関ドアを開けた采斗さんは私を先に玄関内に引き入れた後、ドアを施錠する。
「あの、采斗さ……」
振り返り、背後の彼に呼びかけた私の唇が強引に塞がれた。
紡ぎかけた言葉は最後まで言えなかった。
まるでなにかを性急に訴えるようなキスに心と頭が翻弄される。
こんな噛みつくようなキスの経験はなく、力が入らない。
よろけた私の背中が背後の玄関ドアに微かに触れた瞬間、采斗さんに強い力で抱きすくめられた。
強引に唇を重ねてくるのに、私に触れる手はどこまでも優しい。
「離婚は、それだけは、絶対に受け入れられない」
ほんの少しだけ唇が離れる。
悲壮感さえ感じられる声にひゅっと息を呑んだ。
長い指が私の頬に触れ、顔の輪郭をゆっくり辿る。
鼻と鼻が触れ合いそうな距離に迫る目には悲壮感が滲んでいた。
「離婚って……」
「離婚届に署名していただろう」
「なんで、それを……だってバッグに」
まさか、バッグを落とした時に入れ忘れた?
「ダイニングテーブルの下に落ちていた」
「で、でも采斗さんだって記入していたじゃない」
「あれは、入籍した時に詠菜が準備してくれって言ったからだ。俺は用意したくなかったし、出す気なんてまったくなかった。折を見て処分するつもりだったんだ」
「じゃあ、なんで署名していたの?」
無理やり絞り出した声が震える。
泣きたくなんかないのに、視界が滲んでいく。
最上階に到着し、片手で玄関ドアを開けた采斗さんは私を先に玄関内に引き入れた後、ドアを施錠する。
「あの、采斗さ……」
振り返り、背後の彼に呼びかけた私の唇が強引に塞がれた。
紡ぎかけた言葉は最後まで言えなかった。
まるでなにかを性急に訴えるようなキスに心と頭が翻弄される。
こんな噛みつくようなキスの経験はなく、力が入らない。
よろけた私の背中が背後の玄関ドアに微かに触れた瞬間、采斗さんに強い力で抱きすくめられた。
強引に唇を重ねてくるのに、私に触れる手はどこまでも優しい。
「離婚は、それだけは、絶対に受け入れられない」
ほんの少しだけ唇が離れる。
悲壮感さえ感じられる声にひゅっと息を呑んだ。
長い指が私の頬に触れ、顔の輪郭をゆっくり辿る。
鼻と鼻が触れ合いそうな距離に迫る目には悲壮感が滲んでいた。
「離婚って……」
「離婚届に署名していただろう」
「なんで、それを……だってバッグに」
まさか、バッグを落とした時に入れ忘れた?
「ダイニングテーブルの下に落ちていた」
「で、でも采斗さんだって記入していたじゃない」
「あれは、入籍した時に詠菜が準備してくれって言ったからだ。俺は用意したくなかったし、出す気なんてまったくなかった。折を見て処分するつもりだったんだ」
「じゃあ、なんで署名していたの?」
無理やり絞り出した声が震える。
泣きたくなんかないのに、視界が滲んでいく。