俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす～お前は誰にも譲らない～
「如月との関係について、きちんと話をさせてほしい。これ以上誤解してほしくないんだ」

顎から指を離した彼に真摯な目で覗き込まれて、私は小さく頷いた。

私の反応に彼がほんの少し安堵したような表情を見せた。


如月さんに聞いたように、采斗さんと如月さん、藤堂副社長は学生時代からの友人だったそうだ。

学業で優秀な成績を収めていた如月さんは飲料業界に興味を持ち、きちんと一般選考を受けて日野原飲料に入社したのだという。


「アイツは向上心も強いし、負けず嫌いで勝気だからな。これまでに何度も助けられてきたのは事実だ」

若くして副社長という職業に就いた彼には試練も多かったという。

足元を掬われそうになったのも一度や二度ではないそうだ。

気心の知れた友人でもあった如月さんにはこれまでずいぶん助けられたらしい。


「社内で俺と如月が面白おかしく噂されているのも知っている。今までは面倒だから放置してきた。だがアイツにはこれまで一度も恋愛感情を抱いたことはない。もちろん如月も俺にそんな感情は一切持っていない」

「うん、如月さんもそう言ってた。でも私は如月さんみたいに仕事もこなせないし、采斗さんと過ごしてきた時間も短くて自信をなくしてしまったの」

そう、すべては私の自信のなさから始まった。

采斗さんが好きなのに、どうしても前に踏み出して想いを貫く勇気が持てなかった。
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