俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「詠菜は寝ぼけてる姿が可愛いのにな、起きたか。残念」

ふわりと相好を崩す夫は相変わらずのイケメンぶり。


寝起きすら完璧ってどうなの?

それに引き換え、私は散々泣いてしまったし、きっと瞼は腫れているに違いない……!


「お前の考えは大体想像がつくけど、俺の妻はどんな時も可愛いぞ?」

甘い台詞に息を呑む。


「な、なにを……!」

「事実だからな」


いくら仲直りをしたと言ってもなぜ朝からそんなに甘い態度なの? 


こんなの反則だ。

「真っ赤。本当、可愛い」


可愛い、連呼しすぎだから!


心の中で声にならない悲鳴をあげる。

「会社に行きたくないな。ずっと詠菜を抱きしめていたい」

「む、無理!」

即座に否定すると、クスクス声を漏らす彼。


「そう言うと思った。仕方ないから起きるか」

そう言って私を抱きしめていた腕をするりと緩めて、ベッドから降りる。


その瞬間も私の唇を掠めとるのを忘れない。

心臓が壊れたようなリズムを刻む。


「詠菜、身体はつらくないか? 無理はするなよ」

「大丈夫」

「昨夜も話したが今朝からはお前に送迎をつけるからな」

「えっ、でも」

「ダメだ、これに関しては絶対に譲らない。頼むから身体を大切にしてほしい。俺の予定ははっきりしないものも多い。なにかあった時、すぐに駆けつけれない可能性だってある」

その真剣な表情に、彼がどれだけ私を心配してくれているのかが伝わってくる。


「病院は幾つか調べたよ。後で一緒に考えよう。それと少しでも調子が悪ければ休むように」

頷くとホッとしたように彼が頬を緩める。
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