俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
いつものように総務課に出社し、朝のルーティンワークを終えると、課長に如月さんのところにいくよう指示された。

如月さんには出社後、彼から昨夜の顛末を伝えると言われていた。


私も改めてお礼を言わせてもらいたい。

誰よりも心配してくださっていたのに、私は勝手な誤解で失礼な態度をとってばかりだったから。


「おはようございます、道木です」

営業課を訪れ、挨拶をする。


「おはよう、詠菜。どうしたの?」

入口のすぐ近くにいた親友が挨拶を返してくれた。


「如月さんにお話があって……」

「如月さん? さっきまで席にいらっしゃったんだけど……」

そう言って室内に並べられたデスクを見回す。


すると私と目が合った営業課の男性社員のひとりが声をかけてくれた。

「道木さん、如月さんから小会議室まで来てほしいって伝言を預かってるよ」

「ありがとうございます、(つつみ)さん」

顔見知りの男性社員にお礼を告げる。


「雛乃もありがとう、行ってくるね」

「うん。ねえ、瞼が少し腫れぼったいのは気のせい? その割にはすっきりした表情をしているけど」

さすが、親友は鋭い。


「うん、実は昨夜色々あって……彼とたくさん話し合って、想いが通じ合えたの」

「そう……よかった!」

くしゃりと同期が泣き笑いのような表情を浮かべた。

その様子に心配をかけていたのだと思い知る。


「心配かけてごめんね、今度ゆっくり話すから聞いてくれる?」

「もちろん、隅から隅まできっちり聞かせて!」

女子会ね、と嬉しそうに白い歯を見せる親友に頷く。
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