俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「藤堂商事とのプロジェクトはもう少ししたら落ち着いてくるから。その頃くらいから一緒に準備をしよう。まずは式場を探そう」

唇を離した彼が至近距離から囁く。


「でも今後、施設のオープンセレモニーとかもあるんじゃ……」

「ああ、そうだな。その時と同じくらいに挙式したいと思ってる」

「それってすごく注目されるんじゃ……」

「可愛い妻を見せびらかしてなにが悪い?」


いやいや、それって……私はものすごく緊張するんだけど!


そもそも彼の伴侶が私であるという発表はまだされていない。

私の結婚について知っているのは私の直属の上司や如月さんを含め一握りの人たちだけだ。


采斗さんは私の名前こそは伏せているけれど、結婚生活については以前以上に隠そうとしていない。

それでも私が下手に注目されたり心労を重ねてはいけないと采斗さんなりに公式発表の時期を見計らってくれていたのだろう。


もう少しすればお腹も目立ってくる。

幸いにも私は悪阻が酷くなく、今はまだ周囲に妊娠を伝えていないがそのうちわかってしまう。

産前産後休暇の件だってある。


私が既婚者だとそろそろ周囲にも伝える相談を夫にしなければと思っていた時期だったので余計に驚いてしまう。

本当にどこまでも気の回る人だ。
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