俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「常に儀礼的な態度と適度な距離を絶対に崩さない、我が社の難攻不落の王子様にはそう簡単には会えないわよ」

「雛乃、詳しいね」

「詠菜が知らなさすぎなの。まさか顔も知らなかったとか言うんじゃないでしょうね?」

私の無言を肯定と受け取った親友は目を見張る。

「信じられない。副社長が就任した時、あれだけ騒がれてたじゃない! 会社のホームページにも写真が掲載されてるし」

「副社長が就任した時は熱を出して休んでたの。それに会社のホームページなんて滅多に見ないわよ」

「真理子ちゃんになにも聞かなかったの?」

小さく頷く。

後輩は雛乃同様、社内の噂などの情報に詳しい。

特に社内の独身男性に関する情報量は群を抜いていると親友はよく話している。

ちなみに大のイケメン好きだ。

「もう少し色恋事に関心をもちなさいよ。今回の件だって考えようによってはシンデレラストーリーになるかもしれないじゃない。運命の恋、とか!」

雛乃に胡乱な目を向けられた時、注文した品が運ばれてきた。

「ただの鉢合わせがなんで恋になるのよ。しかも副社長にとっては見られたくない場面だったわけだし。そもそも立場が違いすぎるでしょ」

「連絡先をもらったんでしょ? 副社長は世の独身女性の憧れの存在よ。妻の座を狙っている未婚女性がどれだけいると思っているの? その人たちにとったら私的な連絡先は宝物よ」
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