俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
3.「俺と結婚しないか?」
その週の金曜日。
直属の上司である大木課長に声をかけられた。
「道木さん、さっき秘書室から連絡があって第一会議室に忘れ物があったらしいんだ。引き取ってきてくれないか」
「はい、わかりました」
会議室や応接室の忘れ物はよくある。
大体は事務用品などの置き忘れで大事には至らないのだが、時折スマートフォン等の私物もある。
放置するわけにもいかないので、そういった忘れ物は総務課で引き取り、管理している。
秘書室。
普段ならそれほど気負わずに向かうのだが、今はなんとなく足取りが重い。
まさか、ね。
ただの偶然よ。
頭をよぎった嫌な予感を無理やり振り払う。
この二十五階建本社ビルの二十二階に秘書室がある。
すぐそばに役員室があるせいか、厳かな雰囲気が漂っている場所だ。
「いいなあ、私も役員フロアに行きたいです」
「真理子ちゃん、代わろうか?」
「是非、と言いたいところですけど、今日副社長は終日外出らしいので遠慮します」
肩を竦める後輩はとてもわかりすい。
副社長の予定をなんで把握しているのかは謎だけど。
外出中、それならなんの心配もない。
直属の上司である大木課長に声をかけられた。
「道木さん、さっき秘書室から連絡があって第一会議室に忘れ物があったらしいんだ。引き取ってきてくれないか」
「はい、わかりました」
会議室や応接室の忘れ物はよくある。
大体は事務用品などの置き忘れで大事には至らないのだが、時折スマートフォン等の私物もある。
放置するわけにもいかないので、そういった忘れ物は総務課で引き取り、管理している。
秘書室。
普段ならそれほど気負わずに向かうのだが、今はなんとなく足取りが重い。
まさか、ね。
ただの偶然よ。
頭をよぎった嫌な予感を無理やり振り払う。
この二十五階建本社ビルの二十二階に秘書室がある。
すぐそばに役員室があるせいか、厳かな雰囲気が漂っている場所だ。
「いいなあ、私も役員フロアに行きたいです」
「真理子ちゃん、代わろうか?」
「是非、と言いたいところですけど、今日副社長は終日外出らしいので遠慮します」
肩を竦める後輩はとてもわかりすい。
副社長の予定をなんで把握しているのかは謎だけど。
外出中、それならなんの心配もない。