俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
意気揚々と秘書室に向かうと、見覚えのある男性に応対された。
あれ、この人……どこかで会った気が……。
「笹野と申します。先日は傘をありがとうございました」
私が記憶をたどるより早く、頭を下げられた。
「傘って、えっ?」
まさかの副社長の秘書との再会にうろたえる。
……私が社員だと知っていたの?
「副社長はあなたが当社社員だとすでにご存知です」
最悪の予感が的中した。
社内は完璧に空調を管理されているのに、背中に嫌な汗が噴き出す。
「あ、あの、私、課長の指示で……忘れ物を引き取りに……」
動揺のせいか、うまく話せない。
言いたいのは、聞きたいのは、仕事の件ではないのに。
「ええ、存じております。どうぞこちらへ」
丁寧に案内される。
重厚な焦げ茶色の扉の横にあるプレートには『副社長室』と記載されていた。
「あの、笹野さん」
どうして副社長室に向かうの?
「副社長がお待ちです」
「外出中なのでは……?」
「よくご存知ですね。急遽取りやめになったんですよ」
なんて最悪なタイミング。
そもそも忘れ物を取りに来ただけなのに、なんで副社長に面会する必要が?
訝しむ私を尻目に、笹野さんは副社長室の扉をノックする。
「どうぞ」
中から聞こえてきた応対の声に、身体がギクリと強張る。
この声には聞き覚えがある。
あれ、この人……どこかで会った気が……。
「笹野と申します。先日は傘をありがとうございました」
私が記憶をたどるより早く、頭を下げられた。
「傘って、えっ?」
まさかの副社長の秘書との再会にうろたえる。
……私が社員だと知っていたの?
「副社長はあなたが当社社員だとすでにご存知です」
最悪の予感が的中した。
社内は完璧に空調を管理されているのに、背中に嫌な汗が噴き出す。
「あ、あの、私、課長の指示で……忘れ物を引き取りに……」
動揺のせいか、うまく話せない。
言いたいのは、聞きたいのは、仕事の件ではないのに。
「ええ、存じております。どうぞこちらへ」
丁寧に案内される。
重厚な焦げ茶色の扉の横にあるプレートには『副社長室』と記載されていた。
「あの、笹野さん」
どうして副社長室に向かうの?
「副社長がお待ちです」
「外出中なのでは……?」
「よくご存知ですね。急遽取りやめになったんですよ」
なんて最悪なタイミング。
そもそも忘れ物を取りに来ただけなのに、なんで副社長に面会する必要が?
訝しむ私を尻目に、笹野さんは副社長室の扉をノックする。
「どうぞ」
中から聞こえてきた応対の声に、身体がギクリと強張る。
この声には聞き覚えがある。