俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす～お前は誰にも譲らない～
「今さらだけどその結婚式、大丈夫なの？」

「なにが？」

「新郎新婦って大学時代の友だちなんでしょ？　新郎側に元彼が来たりしないの？」

「まさか」


四年前に別れた彼は、大学時代に友人の紹介で付き合った人だった。

「詠菜は新婦側のゲストでしょ。新婦はふたりが交際していたって知ってるの？」

「知ってるけど、新婦と元彼は学部が違っていたから面識はないかも……」

「じゃあ尚さら招待されているかもしれないじゃない」

「元彼と喧嘩別れをしたわけでも、未練があるわけでもないんだから大丈夫よ。万が一式場で会っても、大人として挨拶ぐらいできるわよ」

「詠菜はそう思っていても、相手は違うかもしれないでしょ」


なんで出席の返事を出す前に確認しなかったの、と睨まれる。

だが正直その時はそこまで頭がまわらなかった。


「本当、そういうところは無頓着というか危なっかしいというか……飲料への情熱のひと欠片でもそっちに向けなさいよ。興味があるものとの温度差がありすぎ」

「失礼ね」

軽く睨み返すと、親友は大袈裟に肩を竦める。

それでも私を心配してくれる心遣いが有難かった。


「でも、気をつける。ありがとうね」

「どういたしまして」

フフッとふたりで笑いあって楽しく昼食を済ませた。
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