俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
茜色の折り畳み傘を持ち直した時、ふと自身の腕時計が目に入る。
時刻は午後五時半をとうに過ぎていた。
写真展の最終入場時刻は午後六時だ。
「すみません。急いでおりますので、これで失礼いたします。どうぞ傘はそのままお持ちください」
話を切り上げ、頭を下げて走り出す。
スーツを汚した件が気になるが、構わないと言ってくれていたし、と勝手ながら結論づける。
「待ってください、せめて連絡先を……!」
背後から男性の呼び止める声が聞こえたが、構わずに走り続ける。
今日、この時を逃したら親友の作品を観れなくなる可能性が高い。
必死に走ったおかげか、写真展の会場である教育センターには無事到着できた。
鎖骨まである、焦げ茶色の真っ直ぐな髪についた水滴をさっとハンカチでふき取る。
すぐさま近くのエレベーターに乗り込んで、三階まで向かう。
ここには親友が出品した写真が展示されている。
テーマは『私の好きな景色』、入賞報告の電話をくれた雛乃の声はとてもはしゃいでいた。
入社してすぐ、好奇心から始めた写真は同期で親友の、今や立派な趣味となっている。
入賞作品の掲示期間は今日、日曜日から来週金曜日まで。
せっかくだから初日にと思ってやってきたのに最終入場時刻を午後七時と間違えていた。
最寄り駅に到着し、地図を確認した際に自身の間違いを知り、慌てふためいた。
時刻は午後五時半をとうに過ぎていた。
写真展の最終入場時刻は午後六時だ。
「すみません。急いでおりますので、これで失礼いたします。どうぞ傘はそのままお持ちください」
話を切り上げ、頭を下げて走り出す。
スーツを汚した件が気になるが、構わないと言ってくれていたし、と勝手ながら結論づける。
「待ってください、せめて連絡先を……!」
背後から男性の呼び止める声が聞こえたが、構わずに走り続ける。
今日、この時を逃したら親友の作品を観れなくなる可能性が高い。
必死に走ったおかげか、写真展の会場である教育センターには無事到着できた。
鎖骨まである、焦げ茶色の真っ直ぐな髪についた水滴をさっとハンカチでふき取る。
すぐさま近くのエレベーターに乗り込んで、三階まで向かう。
ここには親友が出品した写真が展示されている。
テーマは『私の好きな景色』、入賞報告の電話をくれた雛乃の声はとてもはしゃいでいた。
入社してすぐ、好奇心から始めた写真は同期で親友の、今や立派な趣味となっている。
入賞作品の掲示期間は今日、日曜日から来週金曜日まで。
せっかくだから初日にと思ってやってきたのに最終入場時刻を午後七時と間違えていた。
最寄り駅に到着し、地図を確認した際に自身の間違いを知り、慌てふためいた。