俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
受付で記帳をすませ、会場内に足を踏み入れる。
終了時刻間近のせいか人影はまばらだった。
久しぶりの全力疾走に息切れが激しく、鼓動が速いリズムを刻んでいる。
呼吸を整えながら、間に合ってよかったと胸を撫で下ろす。
べたつく湿気のためか、額にはうっすらと汗が滲む。
掲示されている様々な作品を鑑賞しつつ足を進めると、雛乃の作品があった。
海岸と雲ひとつない空という青が眩しい作品。
キラキラ輝く太陽の光に引き込まれそうだ。
こんな写真を撮れるなんて、私の親友は本当に才能があると思う。
「――元気が出る作品ですね」
「ええ、とても明るくて……神秘的な雰囲気で」
頷いて自然な流れで返答してから、ふと我に返った。
……ちょっと待って。
この作品を観ていたのは今、私ひとりだったはず。
声が聞こえたほうに恐る恐る顔を動かすと、なぜかそこには先ほどの美形男性の姿。
なんで、ここにいるの?
驚きで声の出ない私に、男性は落ち着いた様子で話しかけてくる。
「素敵ですね、お知り合いの方の作品ですか?」
「……え、ええ……あの、どうしてあなたがここに? なんで私の知り合いのものだとわかるんですか?」
「私もこちらに向かう途中だったんですよ。受付で記帳されていたあなたの名字とこちらの入賞者の方の名字が違っていたので」
目元を緩めて話す彼に、先刻までの不機嫌さはまったく感じられない。
まさか記帳している姿まで見られていたとは思わなかった。
終了時刻間近のせいか人影はまばらだった。
久しぶりの全力疾走に息切れが激しく、鼓動が速いリズムを刻んでいる。
呼吸を整えながら、間に合ってよかったと胸を撫で下ろす。
べたつく湿気のためか、額にはうっすらと汗が滲む。
掲示されている様々な作品を鑑賞しつつ足を進めると、雛乃の作品があった。
海岸と雲ひとつない空という青が眩しい作品。
キラキラ輝く太陽の光に引き込まれそうだ。
こんな写真を撮れるなんて、私の親友は本当に才能があると思う。
「――元気が出る作品ですね」
「ええ、とても明るくて……神秘的な雰囲気で」
頷いて自然な流れで返答してから、ふと我に返った。
……ちょっと待って。
この作品を観ていたのは今、私ひとりだったはず。
声が聞こえたほうに恐る恐る顔を動かすと、なぜかそこには先ほどの美形男性の姿。
なんで、ここにいるの?
驚きで声の出ない私に、男性は落ち着いた様子で話しかけてくる。
「素敵ですね、お知り合いの方の作品ですか?」
「……え、ええ……あの、どうしてあなたがここに? なんで私の知り合いのものだとわかるんですか?」
「私もこちらに向かう途中だったんですよ。受付で記帳されていたあなたの名字とこちらの入賞者の方の名字が違っていたので」
目元を緩めて話す彼に、先刻までの不機嫌さはまったく感じられない。
まさか記帳している姿まで見られていたとは思わなかった。