俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
上司に任されていた仕事がひと段落した時、内線電話が鳴り響いた。
「道木さん、秘書室長が先日の件で至急来てほしいっておっしゃってます」
同僚の伝言に、嫌な予感が体中を駆け巡る。
「先日の件? 詠菜さん、またなにか仕事を頼まれていたんですか?」
敏い後輩に指摘される。
「う、うん」
「そうなんですか。なにか手伝いが必要なら言ってください」
「ありがとう。ちょっと行ってくるね。この書類、このまま決済にまわして」
真理子ちゃんに指示を出して、席を立つ。
向かう足取りは鉛のように重い。
どうやらあの一件は冗談にはしてもらえないようだ。
秘書室の前には笹野さんがいて、穏やかな表情で私を迎えてくれた。
「お忙しいところすみません。どうぞ、こちらへ。今日の副社長はこれまでにないくらいにご機嫌な様子ですよ」
「え?」
「あの日、ホテルでの会合が終わると焦った様子ですぐに出ていかれたんですよ。道木さんを心配して探しておられたんでしょうね」
不安を感じてらっしゃったせいもあるかと思いますが、と笹野さんが付け加える。
「まさか……」
だからあんなにタイミングよく現れたの?
孝也については知らなかったはずなのに、最初から私を心配してくれていたの?
「あんな副社長を拝見したのは、初めてでした」
それは、どういう意味?
「道木さん、秘書室長が先日の件で至急来てほしいっておっしゃってます」
同僚の伝言に、嫌な予感が体中を駆け巡る。
「先日の件? 詠菜さん、またなにか仕事を頼まれていたんですか?」
敏い後輩に指摘される。
「う、うん」
「そうなんですか。なにか手伝いが必要なら言ってください」
「ありがとう。ちょっと行ってくるね。この書類、このまま決済にまわして」
真理子ちゃんに指示を出して、席を立つ。
向かう足取りは鉛のように重い。
どうやらあの一件は冗談にはしてもらえないようだ。
秘書室の前には笹野さんがいて、穏やかな表情で私を迎えてくれた。
「お忙しいところすみません。どうぞ、こちらへ。今日の副社長はこれまでにないくらいにご機嫌な様子ですよ」
「え?」
「あの日、ホテルでの会合が終わると焦った様子ですぐに出ていかれたんですよ。道木さんを心配して探しておられたんでしょうね」
不安を感じてらっしゃったせいもあるかと思いますが、と笹野さんが付け加える。
「まさか……」
だからあんなにタイミングよく現れたの?
孝也については知らなかったはずなのに、最初から私を心配してくれていたの?
「あんな副社長を拝見したのは、初めてでした」
それは、どういう意味?