俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす～お前は誰にも譲らない～

「言ったはずだ。すでに周囲からはそういう目で見られていて、噂は独り歩きしていると。
下手をしたら俺は自社の女性社員を弄んだ悪い男か、婚約詐欺まがいの行為をする人間だと思われる」

「そんな大袈裟な……」

「俺のイメ―ジは、そのまま会社のイメージにもなる。信用問題にだって発展しかねない。幾つかの契約が影響を受ける可能性だってある。だから俺は常々自分の言動に責任を持っている。中途半端な言い方はしないし、嘘もつかない」

真っ直ぐな目に射抜かれて、ひゅっと息を呑んだ。

先ほどから気圧されてばかりで、声が出せない。


「婚約者のフリなんかに興味はない。それにそんなものは調べたら嘘だとすぐにわかる。そんなんじゃお前を守れない」

フッと甘い吐息を漏らして、私の前髪をそっと指先で梳く。

その眼差しは泣きたくなるくらいに優しかった。


私の、ため？


高鳴る鼓動をコントロールできず、呼吸がどんどん苦しくなる。

「俺は名実ともにお前がほしい。それに俺の前で堂々と前の恋人を呼び捨てにされるのは気に入らないな」

この間言わなかったか？と不穏な空気を纏いながら問う。


だからなんでそこにこだわるの。

そんな些細な出来事に怒るなんて、まるで嫉妬してるみたいじゃない。

そんなのありえないのに。