俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
雛乃には副社長の許可を得て、結婚について報告をしてあった。
早すぎる展開にずいぶん驚いていたが、母同様に私が幸せで後悔しないのなら、と祝福してくれた。
ただ一年間という期間については訝しんでいた。
脳裏にその時の会話が蘇る。
『副社長ってずいぶん噂と違うわね。行動力と決断力はさすがだけど……建前上の逃げ道を用意したのかしら?』
『逃げ道?』
『本気で手に入れるために表面上は譲歩したってこと。押してダメなら引いてみろってね。駆け引きはビジネスの基本でしょ』
『駆け引きだなんて、そんなわけないじゃない』
『相変わらず鈍いわね。世間の独身女性から引く手あまたな副社長がそこまで譲るなんて本気以外にありえないでしょ』
『まさか』
『……副社長も苦労するわね。まあ、それも一興として楽しんでそうだけど。一旦手中に収めたら絶対手放すつもりはないわね、きっと』
ボソリと親友が小さな声で呟く。
『なにか言った?』
『ううん、ふたりの恋を応援してるわ』
『だから違うってば』
『本当に嫌だったらどんな条件を積まれても副社長は結婚なんてしないと思うわよ?』
フフッと声を漏らすその日の親友の声はなぜかとても弾んでいた。
早すぎる展開にずいぶん驚いていたが、母同様に私が幸せで後悔しないのなら、と祝福してくれた。
ただ一年間という期間については訝しんでいた。
脳裏にその時の会話が蘇る。
『副社長ってずいぶん噂と違うわね。行動力と決断力はさすがだけど……建前上の逃げ道を用意したのかしら?』
『逃げ道?』
『本気で手に入れるために表面上は譲歩したってこと。押してダメなら引いてみろってね。駆け引きはビジネスの基本でしょ』
『駆け引きだなんて、そんなわけないじゃない』
『相変わらず鈍いわね。世間の独身女性から引く手あまたな副社長がそこまで譲るなんて本気以外にありえないでしょ』
『まさか』
『……副社長も苦労するわね。まあ、それも一興として楽しんでそうだけど。一旦手中に収めたら絶対手放すつもりはないわね、きっと』
ボソリと親友が小さな声で呟く。
『なにか言った?』
『ううん、ふたりの恋を応援してるわ』
『だから違うってば』
『本当に嫌だったらどんな条件を積まれても副社長は結婚なんてしないと思うわよ?』
フフッと声を漏らすその日の親友の声はなぜかとても弾んでいた。