俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「これ……!」

「結婚指輪は必要だろ? サイズはよさそうだな」

「なんでサイズ……それにこんな豪華なもの……」

よく見ると、小さなダイヤがぐるっと周囲にはめ込まれている。


「外すなよ?」

私の左手を持ち上げた彼が薬指に小さなキスを落とす。

触れられた部分が痺れるように熱い。


「婚約指輪は準備する時間がなかったからな。後日お前と一緒に選びに行くつもりだ。ちなみにサイズはお義姉さんが教えてくれた」

「そんな、この指輪だけで十分です! 豪華すぎます!」


一年後に解消する関係なのに、高価なものは必要ない。


それにしてもお姉ちゃんったらいつの間に私のサイズを伝えていたの?


「あの、これ会社では……」

「もちろんつけろよ。お前と結婚したと報告するからな」

「ちょっと待ってください。今すぐですか?」

「当たり前だろ」

「せめてもう少し時間をください。プロジェクトだって始まりますし……」

「それのなにが問題なんだ?」

訝し気に形の整った眉をひそめる采斗さん。


「プロジェクトメンバーの方々は結婚についてご存知ないんですよね?」


そもそも如月さんは知っているの?


たとえカムフラージュだとしても、自分の恋人が入籍したなんて話を聞きたいわけがない。
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