生徒会の姫と秘密

あたりは、何も無くなり、元に戻った。


「芽依?」

そう呼ぶ、彼の声が聞こえたような気がした。

「芽依!」

倒れかけた、私を支えた彼は泣きそうで、苦しそうな表情だった。


「珀...好きだよ...今まで、ありがとう」

「おい、芽依!今、そんなこと言うなよ」

私の体は限界で、呪詛が消えたからと言っても、治癒の術を使いすぎて死ぬこともある。

私は、死ぬのかもしれない。

なんてことを、呑気に考えてしまった。

「みんなにも、ありがとうって言ってね...海都には、ありがとうとごめんねって大好きだよって...」

「芽依、死んだら許さないからな」

「そんなこと、言っても、珀は許してくれるでしょ...私、知ってるもん。珀は優しいって」

「芽依!ダメだ...」

そんな声も聞こえなくなってきて、私は気を失った。
< 271 / 278 >

この作品をシェア

pagetop