無題

リュウタ




今日はあいつと別れた日。



俺がアメリカに留学することになったから、さよならを言いに行った日だ。


あいつは、泣きながら「りゅーちゃん、行かないでっ!」って言っていた。


俺は、「またな、生きてろよ」と、無表情に短い別れを告げた。


あいつは、もう二度と会えないかのような、最後の別れのように、わんわん泣いていたが、俺はちゃんと戻ってくるつもりでいた。


ただ……、あいつが俺を忘れていないかが不安だ。


だって、別れの日は6年も前だからな。

俺は小4、
あいつは小2だった。


今はあいつはもう、中2か……。


変わってるだろうな。


外見だけじゃなく、中身も。


泣き虫だったあいつが、いじめられてないか心配だったが、大丈夫だろう。


どうせ、もう泣き虫じゃなくなっているだろうな。


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