堕天の翼
第1章 ‐出逢い‐
初めて…、彼を見た瞬間に…時が止まったかのように…心を奪われた…
【なんて…、綺麗な瞳をしているんだろ…】
と、その瞬間に、そう思ったのだ。。
でも、それは…決して、踏み入れてはいけない…世界だった…
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
4月も半ばを過ぎた…
「……」
《ヤダ…っ!
後ろの人…、身体擦り寄せて来てる…
気持ち悪い……っ!》
と、何とか…その身体から逃れようと…身をよじらせる…
早朝の電車内…、出入口のドア付近に身体を押し付けられるような形になったが、何とか…乗ることが出来た…のも束の間だった…
逃げられないのを良いことに…、背後から身体を触られるとは…
最初は、臀部に手が当たってるだけだと…思っていた…
が、それは錯覚ではなく…、その手が…その指先が…這い回る感触がし、ゾワゾワ…と背筋が凍りついていくような感覚へと変わった…
何度も…、身をよじらせても…すぐ背後の人物は、なおも身体を擦り寄せ…、腰に手を回してきていた…
臀部辺りに何かが当たり…、擦り寄せていく感覚がし、ゾッと寒気がした…
「…や…っ!」
ギュッと、両目を閉じ…。。早く電車が止まってくれれば…と、切に願った…
「ねぇ、彼女、嫌がってるんじゃないですか?」
その声と共に…、腰を掴まれていた感覚が薄らいだ…
そっと、その声が聴こえた方を見上げると…背の高い20歳前後の青年が、背広姿の30代くらいの男性の腕を掴んでいた…
「…あ…っ」
《助けてくれた…っ!》
まさか…、自分のことを助けてくれる人がいるとは…夢にも思わかなった…、安心しホッとため息をもらした…
「っな、なんだよ! お前、俺が何をしたと…」
「痴漢。…してましたよね?」
「してねーよ! 言いがかりするなよっ!」
と、声を荒らげる…その男性…、それとは対照的にその青年は軽く笑みを浮かべながら…
「……っ」
その…、芸能人とも取れるような端正な顔立ちに…、一瞬、その瞳が奪われた…
微かに…、胸の鼓動が速さを増したのを…自分でも感じていた…
「あ、僕の勘違いでしたか? 彼女が嫌がってるように見えたので」
と、満面の笑みを浮かべながら、そう言った…その青年…
が、一向に…そのサラリーマン風の男性の腕を掴んでいた…その手を離そうとしない…
「そうだよ! 勘違いするなっ!」
その男は、掴まれていた腕を振り払う…
そう言い残し…、その男は、他の車両へと逃げるように去って行った…
再び…、ホッと胸をなでおろした…
「あ、ありがとうございます。」
改めて、お礼を言おうと…その青年の顔を見上げる…
その瞳の美しさ…に、心まで奪われるかのように…
「別に、ああいう人間が嫌いなだけ…」
そぅ…、先ほどとは違い…。素っ気ない答え方をされた…
その青年は、すぐに視線を逸らし…無機質にそう答えた…
「でも…、何か…お礼を…っ」
「要らない。必要ない…」
まるで、冷たく…突き放すかのような言い方に、胸の辺りがチクリ…とした…
その彼は、すぐさま…背を向け、肩に掛けていたバックから小説を取り出し、読み始めていた…
少し…、離れた場所に移ってしまった彼のことを気になり始めた…
思わず…、重苦しいため息を1つついた…
「……」
《都会の人って、みんな…あんな感じなのかな?
うまく…、やっていけるかな? 私…》
鷺森 瑞希(さぎもり みずき)
この春から都内の大学に進学するために、静岡から上京してきた…
初めての大学生活と、一人暮らし…慣れない電車通学…
静岡の実家にいた頃は、自転車で20分程の距離の高校に通っていた…。
電車に乗るのも、入学して2週間経つが…、未だに間違える程だ…
肩先まで伸びた髪に、大きな瞳と二重瞼…メイクも慣れていないからか高校生に見えてしまうほどの幼さがあった…
電車は、大学の最寄りの駅へと止まり…、何人かの人たちも、その駅で降りていた…
瑞希も、その駅で降り…歩いて数分の距離にある大学の構内へと向かう…
その、目の前…数M先に…、先程助けてくれた青年が歩いていた…同じ大学の校門を潜って行っていたのだ…
【なんて…、綺麗な瞳をしているんだろ…】
と、その瞬間に、そう思ったのだ。。
でも、それは…決して、踏み入れてはいけない…世界だった…
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
4月も半ばを過ぎた…
「……」
《ヤダ…っ!
後ろの人…、身体擦り寄せて来てる…
気持ち悪い……っ!》
と、何とか…その身体から逃れようと…身をよじらせる…
早朝の電車内…、出入口のドア付近に身体を押し付けられるような形になったが、何とか…乗ることが出来た…のも束の間だった…
逃げられないのを良いことに…、背後から身体を触られるとは…
最初は、臀部に手が当たってるだけだと…思っていた…
が、それは錯覚ではなく…、その手が…その指先が…這い回る感触がし、ゾワゾワ…と背筋が凍りついていくような感覚へと変わった…
何度も…、身をよじらせても…すぐ背後の人物は、なおも身体を擦り寄せ…、腰に手を回してきていた…
臀部辺りに何かが当たり…、擦り寄せていく感覚がし、ゾッと寒気がした…
「…や…っ!」
ギュッと、両目を閉じ…。。早く電車が止まってくれれば…と、切に願った…
「ねぇ、彼女、嫌がってるんじゃないですか?」
その声と共に…、腰を掴まれていた感覚が薄らいだ…
そっと、その声が聴こえた方を見上げると…背の高い20歳前後の青年が、背広姿の30代くらいの男性の腕を掴んでいた…
「…あ…っ」
《助けてくれた…っ!》
まさか…、自分のことを助けてくれる人がいるとは…夢にも思わかなった…、安心しホッとため息をもらした…
「っな、なんだよ! お前、俺が何をしたと…」
「痴漢。…してましたよね?」
「してねーよ! 言いがかりするなよっ!」
と、声を荒らげる…その男性…、それとは対照的にその青年は軽く笑みを浮かべながら…
「……っ」
その…、芸能人とも取れるような端正な顔立ちに…、一瞬、その瞳が奪われた…
微かに…、胸の鼓動が速さを増したのを…自分でも感じていた…
「あ、僕の勘違いでしたか? 彼女が嫌がってるように見えたので」
と、満面の笑みを浮かべながら、そう言った…その青年…
が、一向に…そのサラリーマン風の男性の腕を掴んでいた…その手を離そうとしない…
「そうだよ! 勘違いするなっ!」
その男は、掴まれていた腕を振り払う…
そう言い残し…、その男は、他の車両へと逃げるように去って行った…
再び…、ホッと胸をなでおろした…
「あ、ありがとうございます。」
改めて、お礼を言おうと…その青年の顔を見上げる…
その瞳の美しさ…に、心まで奪われるかのように…
「別に、ああいう人間が嫌いなだけ…」
そぅ…、先ほどとは違い…。素っ気ない答え方をされた…
その青年は、すぐに視線を逸らし…無機質にそう答えた…
「でも…、何か…お礼を…っ」
「要らない。必要ない…」
まるで、冷たく…突き放すかのような言い方に、胸の辺りがチクリ…とした…
その彼は、すぐさま…背を向け、肩に掛けていたバックから小説を取り出し、読み始めていた…
少し…、離れた場所に移ってしまった彼のことを気になり始めた…
思わず…、重苦しいため息を1つついた…
「……」
《都会の人って、みんな…あんな感じなのかな?
うまく…、やっていけるかな? 私…》
鷺森 瑞希(さぎもり みずき)
この春から都内の大学に進学するために、静岡から上京してきた…
初めての大学生活と、一人暮らし…慣れない電車通学…
静岡の実家にいた頃は、自転車で20分程の距離の高校に通っていた…。
電車に乗るのも、入学して2週間経つが…、未だに間違える程だ…
肩先まで伸びた髪に、大きな瞳と二重瞼…メイクも慣れていないからか高校生に見えてしまうほどの幼さがあった…
電車は、大学の最寄りの駅へと止まり…、何人かの人たちも、その駅で降りていた…
瑞希も、その駅で降り…歩いて数分の距離にある大学の構内へと向かう…
その、目の前…数M先に…、先程助けてくれた青年が歩いていた…同じ大学の校門を潜って行っていたのだ…
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