堕天の翼
…が。。その次の瞬間、2人がいる部屋のドアが開けられた…

「っ瑞希ちゃん…っ! 大変っ!」

その、けたたましい声に…、2人は凍りついた…

2人の…、裸も同然…の格好に…、そのドアを開けた人物は、大きな瞳をより一層大きく…瞬きを繰り返す…

その次に…、悲鳴に近い声が響き渡った…

「なに? なに? 瑠樺…っ!」

「…ひゃ…っ!」

瑞希は、その人物を目にするなり…慌てて、シーツの中に入り込む…

その人物の、その瑠樺の悲鳴を聞きつけ…後を追いかけてきた…青年…は、瑞希の格好に、すぐさま背を向ける…

「…ごめん。」

「ビックリしたのは、こっちよ!
瑞希ちゃん、昨夜から電話しても出ないし。成宮くんも携帯、繋がらないしっ!
て。。2人、いつの間にか…っ」

と、瑠樺の声のトーンは、心配しすぎたからか…安心したからか…声が沈んでいく…

瑞希は、テーブルの上に置いたままにしておいたスマホを取り出す…。。瑠樺の言う通り…何回もの着信と、何通ものLINE…

その、LINEの内容は…【琢磨と知り合いなの? 琢磨から、瑞希ちゃんの連絡先、教えてって来たんだけど。】【成宮くん、何処にいるか…知ってる? 雅人のとこにも、連絡ないし。連絡取れないの】という内容だった…

その、LINEの内容を瑞希の背後から覗き見ようとした悠…、瑞希は、その内容の部分だけ悠に見せた…

「瑠樺ちゃん、ごめん。」

「もぅ、連絡つかないから。心配した…
雅人から、成宮くん、家を出たって聞いたし。あのお姉さん、どっか可笑しいし…
琢磨も…、いきなり瑞希ちゃんの連絡先、教えてって可笑しすぎる…」

そぅ、少し…寂し気に言った瑠樺…

今にも…、泣きだしそうな表情をしている…

が、急に顔を上げ…

「それよりさ! 2人、いつの間にか…そういう関係だったの? あたし、邪魔した?
続き、するんなら…出てくけど。。」

と、あっけらかん…と、言ってのけた…

「…そんなの、しないよ。もう…っ!」

一瞬にして、頬を赤らめた瑞希に…瑠樺は、【なんだ…】と、呟いた。。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


雅人は、悠から預かっていた衣服などを持ってくる…と、瑠樺と帰っていった…が。。

「漆原か…、アイツ…、あの人と連絡取り合ってるから…」

と、悠は、ため息まじりに…そぅ、言った…

「……っ」
《あの日…、漆原さんは、私に成宮くんと彼のお姉さんの…あの場面を見せる為に…近づいた…

瑠樺ちゃんに私の連絡先を教えろ…なんて…

私が成宮くんと一緒にいる…って、知らないはずなのに…っ》

その、表情が少しずつ…曇っていく…

悠は、そんな瑞希の頬に触れ…瑞希の身体を抱き寄せる…

「…危険なメには遭わせないから…」
《あの人の…目的は、

俺のはずだ…。

他人の瑞希まで、傷つけることは…ない…っ》

と、そぅ…信じたかった…

それより…、何故…琢磨が悠の姉の奈都子の味方で居続けるのか…、悠には理解出来なかった…

ソレは、2人が高校3年の夏から…だった…


悠の脳裏に。。

姉の奈都子に求められるまま…関係を強要されていた…

自分が、姉の奈都子の部屋に向かうと…、姉は既に誰かと身体を繋げていた…

それは、何処かで見覚えがある人物と…

その場面に、悠は、足元から崩れ落ち…フローリングの床に座り込む形になった…

2人は、その物音に、気づき…。。琢磨に引きずり込まれる形で部屋に連れ込まれた…

『その…、地獄にでも堕ちたような…お前の顔が見たかった…』

その声に…、後頭部を殴られたかのような衝撃を受けた。。そのあとは…2人に…



悠は、きゅ…っと、両目を閉じ…重苦しいため息をついた…

「成宮くん…」

心配そうに覗き込む…瑞希…

その身体を抱き締めた…


この、温もりに触れていないと…、自分を保っては居られない…





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