堕天の翼
第9章 ‐未 来‐
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
悠の自宅から、すぐに支度をし…瑞希たちは、その日の夕方には、恭一の車で、箱根に向かう瑞希と瑠樺…雅人たち…
「箱根って、久々〜!
温泉、入りたいな~!」
と、旅行気分が抜けきれない瑠樺…。。
し…んと。静まり返っている車内を盛り上げようとする…彼女の配慮らしいが…、瑞希はそんな瑠樺の様子に…苦笑いを浮かべる…
「瑞希ちゃん! 大丈夫ょ、ね!」
不安気な瑞希の様子に、瑠樺は親指を立たせてみせる…。。彼女の明るさ…は、いまのこの状況にとって、救いでもあった…
瑠樺の言葉に、頷き返した瑞希…
「……っ」
《成宮くん、無事でいて…!
それだけで…、何も…望まないから…
どうか…》
瑞希は、膝の上に置いた手を、ぎゅ…っと握りしめた…
ただ、彼の無事を願うばかり…だった…
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「…美味っ!」
思わず…、発せられた言葉に、奈都子は慌てて口を噤む…
その反応に、悠は思わず…吹き出し、笑った…
「姉さんが何もしなさすぎなんだよ。カレーくらい、俺でも出来るよ」
その日の昼食は、悠が近くのスーパーで購入してきた材料で、カレーを作っていた…
その、言葉に…奈都子は肩をすくめる…
「私、なにも出来ないのね。料理もしたことないもの…
あなたは、何でも器用にこなせるから…私より、人付き合いも…頭だっていいし、スポーツも…」
奈都子の言葉に、悠は複雑だった…。。それは、全て…成宮の家の子どもになる為に、人一倍、努力して身につけてきたモノだったから…
「最初から…、何でも出来る人間なんていないよ…。みんな、自分なりに努力したり、葛藤や逆境があって…大人になってくんだから…
何もない人は、いないんじゃない…?」
そぅ…、カレーを口にしながら…言った悠の言葉に、奈都子は、じ…っと悠の方を見つめる…
その、奈都子の視線に、悠のスプーンを持っていた手が止まる…
「なに?」
「…いゃ、オトナだな…って。あんな子どもっぽかった男の子が、こんなこと、言うなんて…」
驚きに満ちた瞳を向ける奈都子に…、悠は何も言い返せない…。。やや間が空き、奈都子から視線を逸らし…。。再び、カレーを食べ始める…
「そりゃ、そうだよ…」
やはり…、このまま、この時間を過ごす…のには、限界がある…
いつまでも、2人でこうしているのにも…
それならば、やはり…逃げる…以外の路もあるのではないか?…と、思えてならない…
それが、姉の奈都子が言う…【一緒に死ぬ】ことなのか…、悠にも分からなかった…
しかし…、いまの自分には…奈都子と一緒に死ぬ…なんてこと、考えたくなかった…。。が、そこまで必要とし、求められているのであれば…それも、仕方ない…と、その瞳は空をさ迷っていた…
「……っ」
《瑞希も…、漆原が姉さんに刺されたことを…
知っている…のだろうか…?
漆原は、瑞希のことが好きなのか…?
彼女は、アイツと共に生きた方が幸せ…なのかもしれない…。。
この3ヶ月の間…
俺は、何人もの人間と関係を持った…
そんな男が、彼女を幸せに出来るはずもない…
それは、最初から分かっていた…
分かっていたはずなのに…っ》
そんな…、悠の何も映さない瞳…、奈都子も気づいていた…
が、自分と共に逃げてくれた悠の手を…離すことは出来ない…。。離したくはなかった…
その手を、離したら…自分には、生きる術を全て失ってしまいかねなかった…
悠の自宅から、すぐに支度をし…瑞希たちは、その日の夕方には、恭一の車で、箱根に向かう瑞希と瑠樺…雅人たち…
「箱根って、久々〜!
温泉、入りたいな~!」
と、旅行気分が抜けきれない瑠樺…。。
し…んと。静まり返っている車内を盛り上げようとする…彼女の配慮らしいが…、瑞希はそんな瑠樺の様子に…苦笑いを浮かべる…
「瑞希ちゃん! 大丈夫ょ、ね!」
不安気な瑞希の様子に、瑠樺は親指を立たせてみせる…。。彼女の明るさ…は、いまのこの状況にとって、救いでもあった…
瑠樺の言葉に、頷き返した瑞希…
「……っ」
《成宮くん、無事でいて…!
それだけで…、何も…望まないから…
どうか…》
瑞希は、膝の上に置いた手を、ぎゅ…っと握りしめた…
ただ、彼の無事を願うばかり…だった…
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「…美味っ!」
思わず…、発せられた言葉に、奈都子は慌てて口を噤む…
その反応に、悠は思わず…吹き出し、笑った…
「姉さんが何もしなさすぎなんだよ。カレーくらい、俺でも出来るよ」
その日の昼食は、悠が近くのスーパーで購入してきた材料で、カレーを作っていた…
その、言葉に…奈都子は肩をすくめる…
「私、なにも出来ないのね。料理もしたことないもの…
あなたは、何でも器用にこなせるから…私より、人付き合いも…頭だっていいし、スポーツも…」
奈都子の言葉に、悠は複雑だった…。。それは、全て…成宮の家の子どもになる為に、人一倍、努力して身につけてきたモノだったから…
「最初から…、何でも出来る人間なんていないよ…。みんな、自分なりに努力したり、葛藤や逆境があって…大人になってくんだから…
何もない人は、いないんじゃない…?」
そぅ…、カレーを口にしながら…言った悠の言葉に、奈都子は、じ…っと悠の方を見つめる…
その、奈都子の視線に、悠のスプーンを持っていた手が止まる…
「なに?」
「…いゃ、オトナだな…って。あんな子どもっぽかった男の子が、こんなこと、言うなんて…」
驚きに満ちた瞳を向ける奈都子に…、悠は何も言い返せない…。。やや間が空き、奈都子から視線を逸らし…。。再び、カレーを食べ始める…
「そりゃ、そうだよ…」
やはり…、このまま、この時間を過ごす…のには、限界がある…
いつまでも、2人でこうしているのにも…
それならば、やはり…逃げる…以外の路もあるのではないか?…と、思えてならない…
それが、姉の奈都子が言う…【一緒に死ぬ】ことなのか…、悠にも分からなかった…
しかし…、いまの自分には…奈都子と一緒に死ぬ…なんてこと、考えたくなかった…。。が、そこまで必要とし、求められているのであれば…それも、仕方ない…と、その瞳は空をさ迷っていた…
「……っ」
《瑞希も…、漆原が姉さんに刺されたことを…
知っている…のだろうか…?
漆原は、瑞希のことが好きなのか…?
彼女は、アイツと共に生きた方が幸せ…なのかもしれない…。。
この3ヶ月の間…
俺は、何人もの人間と関係を持った…
そんな男が、彼女を幸せに出来るはずもない…
それは、最初から分かっていた…
分かっていたはずなのに…っ》
そんな…、悠の何も映さない瞳…、奈都子も気づいていた…
が、自分と共に逃げてくれた悠の手を…離すことは出来ない…。。離したくはなかった…
その手を、離したら…自分には、生きる術を全て失ってしまいかねなかった…