【短完】奇跡が降るなら、時の音を止めたいと思った。
初羅のお母さんから初羅へと視線を移せば一直線になっている心電図。そこから完全に息はもうないのだと言うことがわかった。

3:30その時に、私は何してた?

思い返してみる。

今の時刻は3:45分。公園から病院まで10分。

「お母さんはいつ家を出た?」

後ろのお母さんに聞けば、

「連絡貰ってすぐ、見つけるまで多分、5分ちょいくらい…かしら…」

と答えが帰ってくる。

てことは、今の時間から5分と10分を引いて、考えれば私と一緒にいた初羅がだいたい3:30に消えたことが分かる。

つまり、あの時に死んだってこと?

分かった瞬間に、涙が出てきた。

一筋の粒は、だんだんと勢いをまして降ってくる。

「聞いてくれる?初羅の最後の言葉。」


初羅に似た表情で優しく笑った初羅のお母さんは目を再び潤ませながら言った。

『はいっ、教えてください……っ、』


「ひぃ、俺は、今でもずっと。これからもずっと、ひぃのことが、大好きだ。」

脳裏にパッと初羅の笑顔が浮かんだ。


もう、聞いてしまった瞬間から涙が止まらなかった。だって、だってそれは、

君が消える前に言ったセリフじゃないか。続きは聞くのが出来なかったセリフ。


『初羅……っ!』



初羅の言葉を思い出す。


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