【短完】奇跡が降るなら、時の音を止めたいと思った。

俺、遠いところに行くんだ。もう、会うことは出来ないくらいに遠いところ。

さいごなんだからさ、の言葉もきっと……

最期なんだからさ、と変換するんだろう。


それもこれも全部、全部。


死ぬから。


きっと、初羅は自分が死ぬことが分かったから今日1日逢いに来てくれたんだ。

奇跡を、届けに来てくれたんだ。


初羅の優しさが分かって、目からは決壊したダムのごとく涙が流れ続ける。

「ありがとう、雛里ちゃん。」

初羅のお母さんが抱きしめてくれる。





君がくれた奇跡の一日。君が言った言葉にお返事させてよ。届くかな?届くといいなぁ。


あのね、あのね。

初羅。

私もね、


『初羅のことが……大好きだよっ、』

願わくばもう一度、君に会いたいな。

今日、君が私に会いに来てくれたから今度は私が君に会いに行くね。


だから、それまで。


バイバイ。








終。
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