【短完】奇跡が降るなら、時の音を止めたいと思った。
再び目を開けた頃には初羅がいなくて、
「雛里、雛里!!」
私を探しているのだろうか、お母さんの声が遠くから聞えた。
「雛里!」
公園を見つけたお母さんは私の姿を探して入ってくる。
「雛里!いたっ、あなた、ずっと探してたのよっ!!」
怒ったような口調で私の名前を呼ぶお母さん。
『お母さん、どうしたの?』
どうして、そんなに苦しそうな顔をしているの?
「雛里、よく聞いて。
初羅くんが、亡くなった。」
『……え?』
初羅が?さっきまでずっと一緒にいた初羅が?
信じられなくて、信じたくなくて。
『嘘……でしょ?』
だって、さっきまで隣にいたよ?一緒に会ってたよ?
ねぇ、嘘でしょ?
なんて思う心とは反対に、今日1日に起こった全てのパズルのピースがハマっていく。
辞めて、やめて、はめないで。
完成させてしまったらさいご、本当に初羅が死んだ、と言う事実しか残らなくなってしまうから。