~ジラソーレ・ひまわり~(礼文島から愛を込めて)
夏海は2、3日過ぎると、すっかり元気になっていた。颯太は治ったのかな?
夏海は心配だった。

リビングの窓から庭を眺めると、いつの間にか、夏海が植えた向日葵の種が、芽を出していた。


「あ、向日葵がやっと芽を出したわ」


匠も、後から覗き込んだ。もう夏海の背を、とっくに追い越していた。

「匠も背が伸びたね、いつのまにか母さんを追い越して」


「あはは、何言ってるの、もうとっくに追い越してるよ」


「母さんも、歳を取る筈ね…。笑」


「どうしたの?そんな事言って。母さんは、僕達の自慢さ。とても二十歳くらいの息子が居るようには、見えないよ。大学でも評判なのさ、今まで黙ってたけどさ」

「ほんと?お世辞でも嬉しいわ、ありがとう。笑」


夏海は、照れくさいのを隠すように、朝食の後片付けを始めた。
実際夏海は、若く見えた。長身で整った顔立ちは、町を歩いていても人目を引くのだった。
匠は、いつものように学校へ行った。
夏海はソファーへ座り、スマホを開いた。颯太はどうしたかな…?
でも、やっぱりよそう。
夏海がスマホを閉じた時、丁度LINEがきた。
颯太だった。


《夏海、大丈夫かい?熱は下がった?》


《うん、大丈夫。もう平気だから》


《良かった、心配だったんだ。だけど、悪いかなと思って、LINEしなかったんだ》


《颯太は大丈夫?》


《うん、僕も大丈夫さ。食欲もりもり。笑》


《良かった!二人とも治って良かった。今ね、庭に向日葵の芽が出たのを、見ていたの》


《へえ!いいな。僕の家は庭がないもの。向日葵は、大好きな花なんだ。花が咲いたら、写メでも撮って送って。あ、それから僕、あと7日くらいで仕事に行くんだ。働かないとね。スイカの収穫の手伝いなんだ》


《スイカの?そう、どこへ行くの?》


《もちろん、スイカと言ったら山形の尾花沢さ。笑》


《山形か、気をつけてね。スイカ食べ過ぎないようにね。笑》


《あはは、僕は働きに行くんだよ。でも、気をつけるよ。ありがとう》



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