~ジラソーレ・ひまわり~(礼文島から愛を込めて)
向日葵は、日ごとに育って行った。
颯太からメールがきた。


《僕は、明日発つよ》


《そう、いよいよね。頑張って》

《うん、ありがとう。頑張るよ》

《LINEしても大丈夫?》


《うん、今までみたいに、すぐ返事出来ないかもしれないけど、必ず返事するよ》


《うん、ありがとう。無理しないで良いよ。疲れた時は、返事しなくても良いから。笑》


《うん、ありがとう。明日早いから》


《頑張るんだよ》


夏海は思った、向日葵が花を開いたら、必ず颯太に見せてあげよう。
カレンダーを見ると、明日がちょうど夏海の誕生日だった。
次の日、颯太からメールがきた。


《夏海、無事山形に着いたよ。橋本さんて言うお宅に、お世話になるんだ。まだ小さい娘さんばかりで、男手がないんだって。明日から早速、収穫の手伝いだよ。朝4時に起きて収穫するんだ。日中は暑いから、休んでいるんだってさ》


《そうなの、そんなに早く起きるんじゃ大変ね。気をつけてね》


《うん、山形も良いところだから、暇があれば色々見たいしね。明日は早いから、おやすみなさい》


《うん、おやすみ》


私がまだ寝ている時に、颯太は働いているのね。
次の朝、朝食を作りながら夏海は颯太の事を考えていた。


「母さん、今日誕生日だろ?」


聡が起きてきて、席についた。


「ああ、俺は今日も、ちょっと帰れそうにないな」

康介が言った。


「父さんの会社はビール売ってるから、夏は忙しいんだろ。僕達でケーキ買って、お祝いしてあげるよ」

聡が言った。


「いいのよ。お祝いされるような歳じゃないし」


「いいじゃない、たまには盛り上がろう。じゃ決まり!」


聡は嬉しそうに出かけた。
夏美がふと庭のほうを見ると、向日葵はもう背丈ほどに伸び、花を付ける蕾は膨らみ始めていた。



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