~ジラソーレ・ひまわり~(礼文島から愛を込めて)
あまり働いた事のない夏海は、とにかく何でもいいからやってみようと思った。どんな仕事でも頑張ってやるつもりだった。
迷いはあったが次の日早速に、履歴書を持って店を訪ねた。
白い壁とオレンジ色の屋根、小さい木の看板には【ジラソーレ】と書いてあったあの店。
恐る恐るドアを開けた。
厨房の奥から、声がした。
「すいません、まだ開店前で…。」
厨房から、店主らしき人が出て来た。
「いえ、あの求人をみて…。」
そう言うと、履歴書を手渡した。
今までの状況を、素直に話して、駄目ならあきらめようと、思っていた。
店主は話を聞き、書類に目を通すと、話し始めた。
「わかりました。こちらも若い子より、気働きのきく、既婚の方のほうが良いんです。事情は、わかりました。少しづつ、慣れていかれたらどうですか?御主人、心配ですね」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
夏海は、緊張がとけ、ほっと胸を撫で下ろした。少しは、生活費の足しになるだろう。
でも、学費を払うと、貯金が底をつく。
最悪の時は、家を売るしかないと、夏海は思った。
《夏海、どうしてる?僕は帰って来たよ》
颯太からだ…。
《颯太、私…。あのね颯太、がんばれって言って》
《夏海…どうしたの?…何か辛い事があるんだね、わかったよ。夏海、がんばれ!》
《ありがとう。颯太。》
夏海は、涙が溢れてとまらなかった。颯太とLINEしている時は、妻でも母でもない、一人の女性に戻っていた。
迷いはあったが次の日早速に、履歴書を持って店を訪ねた。
白い壁とオレンジ色の屋根、小さい木の看板には【ジラソーレ】と書いてあったあの店。
恐る恐るドアを開けた。
厨房の奥から、声がした。
「すいません、まだ開店前で…。」
厨房から、店主らしき人が出て来た。
「いえ、あの求人をみて…。」
そう言うと、履歴書を手渡した。
今までの状況を、素直に話して、駄目ならあきらめようと、思っていた。
店主は話を聞き、書類に目を通すと、話し始めた。
「わかりました。こちらも若い子より、気働きのきく、既婚の方のほうが良いんです。事情は、わかりました。少しづつ、慣れていかれたらどうですか?御主人、心配ですね」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
夏海は、緊張がとけ、ほっと胸を撫で下ろした。少しは、生活費の足しになるだろう。
でも、学費を払うと、貯金が底をつく。
最悪の時は、家を売るしかないと、夏海は思った。
《夏海、どうしてる?僕は帰って来たよ》
颯太からだ…。
《颯太、私…。あのね颯太、がんばれって言って》
《夏海…どうしたの?…何か辛い事があるんだね、わかったよ。夏海、がんばれ!》
《ありがとう。颯太。》
夏海は、涙が溢れてとまらなかった。颯太とLINEしている時は、妻でも母でもない、一人の女性に戻っていた。