~ジラソーレ・ひまわり~(礼文島から愛を込めて)
その夜、夏海は眠らずに匠を待っていた。
子供だと思っていたのに、いつの間にか親に言えないような秘密を持っている。ケータイも留守電になって繋がらない。夏海は昼間の疲れもあって寝てしまった。
匠はその夜、帰って来なかった。
「おはよう聡、母さんは店に行くから。朝食は用意してあるわ。匠が帰ったら、母さんに連絡するように言ってね。」
夏海はそう言うと、ジラソーレへ出勤した。いつものように忙しい昼が過ぎ、匠からメールが来た。
《母さん、連絡しないでごめん。これからバイトへ行く。》
夏海は、ため息をついた。しょうがない子。それから、颯太からメールが来た。
《夏海、僕は今くれないの丘にいる。これからジラソーレで、遅い昼食を。笑。》
《うん、待ってるから。》
そうメールすると、夏海はケータイを閉じた。
色々な事があっても、それは全部夏海の肩に背負わなければいけない。
今は、颯太がいて話を聞いてくれる。ただそれだけで、充分だった。
「夏海、来たよ。」
颯太が、ドアを開け入って来た。それから、厨房を覗いて挨拶した。
「こんにちは。またお邪魔します。」
「ああ、ゆっくりしてって。」
奥からマスターの声がした。
颯太と夏海は、顔を見合わせて笑った。
「ご注文は?」
コップを置きながら、夏海が聞いた。
「えっとね、ペペロンのランチを。」
夏海がランチを運んできた。颯太は、嬉しそうに夏海を見上げる。
「ありがとう。」
「ごゆっくり。」
颯太は、ゆっくり味わうように食べる。
「おいしそうに食べるのね。」
「栗林さん、お客さん一段落したから、お昼休憩して。」
マスターが厨房から顔を出した。
「栗林さんは、颯太君と知り合いなの?」
マスターは賄いのランチを運んで来ると、颯太のテーブルにおいた。
「そこで食べたら良いよ。」
「すみません。」
夏海は颯太のテーブルに着いた。
「えっと、その…栗林さん。」
颯太は、よそよそしく言うと、ぷっと吹き出した。
「もう、颯太ってば…。笑。」
子供だと思っていたのに、いつの間にか親に言えないような秘密を持っている。ケータイも留守電になって繋がらない。夏海は昼間の疲れもあって寝てしまった。
匠はその夜、帰って来なかった。
「おはよう聡、母さんは店に行くから。朝食は用意してあるわ。匠が帰ったら、母さんに連絡するように言ってね。」
夏海はそう言うと、ジラソーレへ出勤した。いつものように忙しい昼が過ぎ、匠からメールが来た。
《母さん、連絡しないでごめん。これからバイトへ行く。》
夏海は、ため息をついた。しょうがない子。それから、颯太からメールが来た。
《夏海、僕は今くれないの丘にいる。これからジラソーレで、遅い昼食を。笑。》
《うん、待ってるから。》
そうメールすると、夏海はケータイを閉じた。
色々な事があっても、それは全部夏海の肩に背負わなければいけない。
今は、颯太がいて話を聞いてくれる。ただそれだけで、充分だった。
「夏海、来たよ。」
颯太が、ドアを開け入って来た。それから、厨房を覗いて挨拶した。
「こんにちは。またお邪魔します。」
「ああ、ゆっくりしてって。」
奥からマスターの声がした。
颯太と夏海は、顔を見合わせて笑った。
「ご注文は?」
コップを置きながら、夏海が聞いた。
「えっとね、ペペロンのランチを。」
夏海がランチを運んできた。颯太は、嬉しそうに夏海を見上げる。
「ありがとう。」
「ごゆっくり。」
颯太は、ゆっくり味わうように食べる。
「おいしそうに食べるのね。」
「栗林さん、お客さん一段落したから、お昼休憩して。」
マスターが厨房から顔を出した。
「栗林さんは、颯太君と知り合いなの?」
マスターは賄いのランチを運んで来ると、颯太のテーブルにおいた。
「そこで食べたら良いよ。」
「すみません。」
夏海は颯太のテーブルに着いた。
「えっと、その…栗林さん。」
颯太は、よそよそしく言うと、ぷっと吹き出した。
「もう、颯太ってば…。笑。」