~ジラソーレ・ひまわり~(礼文島から愛を込めて)
夏海は、誰もいなくなった部屋で、一人考えこんでいた。
その時、チャイムが鳴った。
颯太だった。


「夏海、大丈夫かい?匠君からメールがきて、全部聞いたよ。」


「颯太、とにかく入って。」


テーブルの上には、夏海の作った料理が並んでいた。

「これ全部、夏海が作ったのかい?すごーい!」


「そうよ、一応主婦ですから。笑。」


「夏海、やっと笑った…。」


颯太は、夏海を抱きしめた。


「颯ちゃん、お腹空いてる?誰も食べてくれないの…私もお腹空いてるし。一緒に食べましょう。」


「うん、嬉しいよ。ありがとう。僕はたくさん食べるよ。笑。」


夏海と颯太は、向かい合って食卓についた。


「夏海、どれもおいしい。夏海は料理が上手いね。笑。」


「ありがとう。颯ちゃんは美味しそうに食べるのね。」

「こうしていると、二人で暮らしているみたいだね。」

颯太は、照れながら言った。


「あ、良かった。お母さんとって言うかと思ったわ。笑。」

「夏海…、気になる?僕は全然大丈夫だから、この間も言ったろ。年齢なんて関係ないよ、そのままの夏海がいいんだ。」


食べながら二人は、いろんな事を話した。いつの間にか、外は真っ暗になった。


「もう随分日が短くなったのね。」

夏海が外を見ると、咲き終わった向日葵が重い頭を垂れて、それでもしっかりと立っていた。


「もう、向日葵が枯れてしまったわ。」


「うん、でもね夏海、花が終わった後は、来年に芽を出す種がたくさん詰まってるんだよ、力強く芽を出す種が。だから僕は、向日葵が好きなんだ。」


颯太と夏海は、庭に出た。


「颯ちゃん…、」

夏海は颯太に寄り添い、二人の影は一つになった。


「夏海、これからくれないの丘へ行って、夜景を見ないか?」


「え?これから?」


颯太はそう言うと、夏海から車のキーを受け取り、二人はくれないの丘へ向かった。


くれないの丘から見る夜景は、とても綺麗だった。


「綺麗ね、颯ちゃん。」


「うん、綺麗だね。夏海、癒されるだろ?」


その夜、夏海と颯太は、一つに溶け合って眠りについた。



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