~ジラソーレ・ひまわり~(礼文島から愛を込めて)
夏海は、初冬の冷たい風が吹く中、店に向かっていた。ジラソーレの、木の看板が風で揺れている。
もうすぐ、冬がくる。


《夏海、今夜会えない?》


颯太からメールが来た。


《いいわ、9時頃にあがるから。》


《うん、くれないの丘のふもとの、コーヒー屋で待ってるね。》


颯太は、先に来ていた。


「待った?」


夏海が白い息をしながら、入って来た。


「うん、いいんだ。僕は暇だから。笑。」


「颯ちゃん、今日は、写真撮ったの?」


夏海は、コーヒーカップで、両手を温めながら聞いた。


「うん、今日はね、くれないの丘の少し紅葉しているの撮ったよ。ほら、見てごらん。」

そう言って、デジカメの画像を見せた。


「わあ!ほんと綺麗。」


夏海は暫く、写真を見ていた。颯太は、下を向いて黙っていた。
夏海は、それに気が付くと聞いた。

「颯ちゃん、どうしたの?」


颯太は、顔を上げると、口を開いた。


「あのね、夏海、僕はそろそろ働かないと…。去年も行ったスキー場から、手伝ってくれって言われているんだ。でも、夏海と暫く会えなくなる。」


夏海は、少し考えていたが、颯太の顔を見た。


「颯ちゃん、大丈夫よ。メールも電話もあるじゃない?そうだ、写メで雪でも撮って送って。笑。」


「うん、わかったよ。でもそこは、ちょっと電波状態が悪くてさ…。なかなか繋がらないかもしれない。」

「わかったわ。メールするから、返事はいつでもいいよ。」


「夏海は、いつもそう言いうんだ。でも、僕は寂しいよ。」


颯太は、コーヒーを飲み干した。


「颯ちゃん、家へくる?聡はコンビニのバイトで、朝までだから。」


「うん、夏海と暫く会えないから、今日は一緒にいたい。笑。」


二人は、途中のコンビニで買い物をして、夏海のアパートへ帰った。


「僕と夏海は、夫婦に見えるかな?」


「さあ、どうかしら?笑。」


「夏海、愛してる。」


「颯ちゃん…私も」


いつまでも、いつまでもこうしていたい。
その夜、二人はお互いの愛を確かめるように眠りについた。




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