~ジラソーレ・ひまわり~(礼文島から愛を込めて)
夏海は、幸せを噛み締めていた。
色々な事が起きた去年が、もう遠い昔のような気がした。
颯太はもう、ずっとここにいる。それだけで良かった。
夏海は、コンビニでパートの毎日。聡もバイトしながら大学へ通った。でも、生活するには足りず、貯金を取り崩す日々だった。
《颯ちゃん、今日会えない?一緒に晩ご飯食べよう。》
夏海は、仕事が終り、颯太にメールをした。
《いいよ。楽しみにしてる。》
夏海は、仕事が終り、スーパーで買い物をして帰った。夕食を作り、颯太を待っていた。
「夏海、遅くなってごめん。待った?」
「颯ちゃん、聡も帰ってくるから、一緒に食べましょう。」
聡も、じきに帰って来た。三人は、夕食を食べ始めた。
「颯太さん…、母さんの料理は、美味しい?」
聡が言った。
「うん、聡君、美味しいよ。」
唐突に言われ、颯太の返事は、ぎこちなかった。夏海は、心配そうに二人を見た。
やがて食べ終わると、聡はバイトに行った。
夏海は、颯太の顔をじっと見た。
「どうしたの?夏海、そんな顔して…。」
今まで、見た事のない夏海の顔だった。
「颯ちゃん、仕事決まった?」
「うん、探しているけど、まだ決らないよ。どうしたの?」
颯太が、心配そうに聞いた。
「颯ちゃん、私はもう、ここではやっていけないの…。もう、限界なの。聡の大学も、学費が払えないから、辞めなければならないの。」
「夏海、本当なの?」
「ええ、本当なの。私は、北海道の礼文の生まれなの。私の両親が、礼文で民宿をしているの。もう70歳になるし、そんな生活なら聡と一緒に帰って来いって…。」
「夏海…、僕と夏海は…どうして…。そんなの嫌だよ。」
「颯ちゃん。」
それまで、表情を変えずに話していた夏海だったが、突然、涙が溢れてきた。
「僕はこの地で仕事を探す。母さんにも、約束したし。それも、夏海がいるから。」
「颯ちゃんはこれから、楽しい事が山のようにあるわ。私は、礼文に帰るの。もう二度と、戻れないわ。」
「夏海、もう言うな。」
颯太は、強引に夏海を抱き締めた。
色々な事が起きた去年が、もう遠い昔のような気がした。
颯太はもう、ずっとここにいる。それだけで良かった。
夏海は、コンビニでパートの毎日。聡もバイトしながら大学へ通った。でも、生活するには足りず、貯金を取り崩す日々だった。
《颯ちゃん、今日会えない?一緒に晩ご飯食べよう。》
夏海は、仕事が終り、颯太にメールをした。
《いいよ。楽しみにしてる。》
夏海は、仕事が終り、スーパーで買い物をして帰った。夕食を作り、颯太を待っていた。
「夏海、遅くなってごめん。待った?」
「颯ちゃん、聡も帰ってくるから、一緒に食べましょう。」
聡も、じきに帰って来た。三人は、夕食を食べ始めた。
「颯太さん…、母さんの料理は、美味しい?」
聡が言った。
「うん、聡君、美味しいよ。」
唐突に言われ、颯太の返事は、ぎこちなかった。夏海は、心配そうに二人を見た。
やがて食べ終わると、聡はバイトに行った。
夏海は、颯太の顔をじっと見た。
「どうしたの?夏海、そんな顔して…。」
今まで、見た事のない夏海の顔だった。
「颯ちゃん、仕事決まった?」
「うん、探しているけど、まだ決らないよ。どうしたの?」
颯太が、心配そうに聞いた。
「颯ちゃん、私はもう、ここではやっていけないの…。もう、限界なの。聡の大学も、学費が払えないから、辞めなければならないの。」
「夏海、本当なの?」
「ええ、本当なの。私は、北海道の礼文の生まれなの。私の両親が、礼文で民宿をしているの。もう70歳になるし、そんな生活なら聡と一緒に帰って来いって…。」
「夏海…、僕と夏海は…どうして…。そんなの嫌だよ。」
「颯ちゃん。」
それまで、表情を変えずに話していた夏海だったが、突然、涙が溢れてきた。
「僕はこの地で仕事を探す。母さんにも、約束したし。それも、夏海がいるから。」
「颯ちゃんはこれから、楽しい事が山のようにあるわ。私は、礼文に帰るの。もう二度と、戻れないわ。」
「夏海、もう言うな。」
颯太は、強引に夏海を抱き締めた。