~ジラソーレ・ひまわり~(礼文島から愛を込めて)
夏海を抱き締めた颯太の肩が、揺れていた。
夏海は、はっとして、顔をあげると、颯太は、肩を震わせて泣いていた。


「颯ちゃん…。」

「夏海…どうして僕達はこんな目にあうんだ。ただ、愛してるだけなのに…。」


低い嗚咽とともに、絞り出すような悲しい声だった。

夏海は、涙を拭いた。もう、覚悟は出来ていた。
颯ちゃんは、まだ若いもの。いくらでも、やり直す事が出来る。
私は、礼文で一生暮らすの。もう、それしかなかった。


「颯ちゃん、私と颯ちゃんは、いつも繋がっているわ。たとえ何処へいっても。」


颯太は、涙を拭うと、夏海の肩を離した。そして夏海をじっと見ると、暫く考えると言って出て行った。

颯ちゃん…。夏海は颯太を、追いかけた。
まだまだ寒い冬の星空は、綺麗に澄みきっていた。
颯太のバイクの音が、響いていた。

もう、終りね。
楽しかった日々。夏美は、颯太に出会って、幸せだった。
まるで長い夢を見ていたみたいだった…。
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