~ジラソーレ・ひまわり~(礼文島から愛を込めて)
夏海達は春が来るまで、民宿の掃除をしたり、部屋を直したりした。
聡は、民宿を盛り上げるよと意気込んで、料理の手解きを受ける毎日が続いた。
夏海はケータイを、一時も離さず持ち歩いた。
いつ颯太から返事が来てもいいように…。
「母さん、俺の作った料理、味見してくれない?今日の夕食に作るよ。」
「聡、大丈夫?水崎にいた頃は、何もしなかったのに。笑。」
「何だよ母さん、俺は水崎にいた頃とちがうの。早く一人前になって、夏休みに友達が来ても、恥ずかしくないようにしたいの。」
そう言うと、調理場へ入った。
やっぱり男の子だ。腹を決めると強い。
夏海は、頼もしい後ろ姿を見てそう思った。
颯太はどうしているかしら…。匠には、定期的に連絡していたが、颯太の事は聞けずにいた。
もう冬も終り、春の訪れを告げるフキノトウが、残雪の間から、顔をだしていた。
その夜、聡は夕食を作った。
「どう?俺、頑張って作ったの。力作だよ。」
夏海は、食べて驚いた。
「聡、美味しい。すごく美味しいわ。」
夏海に言われて、聡も得意気に笑った。いつの間にか腕を上げていた。
「美味しい?良かった。俺さ、ほんとはドキドキだったんだ。笑。」
やがて春が来て、忙しい日々が始まる。
「母さん、俺さ…母さんと礼文へ帰って、ほっとしたんだ。あいつと別れる事になってさ。俺、母さん達の事、反対はしないけど、やっぱりなんか、いい気分はしなかった。」
「聡…。」
「だから、こっちへ帰って来てから、颯太の話はしなかったんだ。でも母さん、元気ないだろ?俺、内緒で匠にあいつの事聞いたんだ。そしたら…」
「えっ?そしたら?」
夏海は、思わず聞き返した。
「母さん…、あいつ…あの日、俺と母さんが礼文へ帰った日、会社を辞めたんだ。」
どう言う事?夏海は、信じられない顔をした。
聡は、民宿を盛り上げるよと意気込んで、料理の手解きを受ける毎日が続いた。
夏海はケータイを、一時も離さず持ち歩いた。
いつ颯太から返事が来てもいいように…。
「母さん、俺の作った料理、味見してくれない?今日の夕食に作るよ。」
「聡、大丈夫?水崎にいた頃は、何もしなかったのに。笑。」
「何だよ母さん、俺は水崎にいた頃とちがうの。早く一人前になって、夏休みに友達が来ても、恥ずかしくないようにしたいの。」
そう言うと、調理場へ入った。
やっぱり男の子だ。腹を決めると強い。
夏海は、頼もしい後ろ姿を見てそう思った。
颯太はどうしているかしら…。匠には、定期的に連絡していたが、颯太の事は聞けずにいた。
もう冬も終り、春の訪れを告げるフキノトウが、残雪の間から、顔をだしていた。
その夜、聡は夕食を作った。
「どう?俺、頑張って作ったの。力作だよ。」
夏海は、食べて驚いた。
「聡、美味しい。すごく美味しいわ。」
夏海に言われて、聡も得意気に笑った。いつの間にか腕を上げていた。
「美味しい?良かった。俺さ、ほんとはドキドキだったんだ。笑。」
やがて春が来て、忙しい日々が始まる。
「母さん、俺さ…母さんと礼文へ帰って、ほっとしたんだ。あいつと別れる事になってさ。俺、母さん達の事、反対はしないけど、やっぱりなんか、いい気分はしなかった。」
「聡…。」
「だから、こっちへ帰って来てから、颯太の話はしなかったんだ。でも母さん、元気ないだろ?俺、内緒で匠にあいつの事聞いたんだ。そしたら…」
「えっ?そしたら?」
夏海は、思わず聞き返した。
「母さん…、あいつ…あの日、俺と母さんが礼文へ帰った日、会社を辞めたんだ。」
どう言う事?夏海は、信じられない顔をした。