~ジラソーレ・ひまわり~(礼文島から愛を込めて)
(颯太)
みんなが出かけた家は、急に静まり返った。


《ひまわりさん、おはよう。何してたの?》


夏海は、もう一人のひまわりにメールした。
旅立ちゲームは、もうやめてしまったが、
そこで知ったもう一人のひまわりの存在が、気になっていた。


《あ、ちょうど今起きた。今日これから、母さんと病院に行くんだ。》

《え?お母さんどこか悪いの?》


《違うよ、父さんが入院してるんだ。もう長いんだよ。》


《ごめんなさい、悪い事聞いて。》

《ううん、いいんだよ。もう長いし慣れたから。それよりさ、君は何してる人?僕ばかり話してる。笑。》

《あ、そうね。笑。私は結婚してるの。主人はサラリーマンで、子供は双子なの。私の名前は、夏海と言うの。》


《そう夏海か、良い名前だね。僕は、颯太って言います。これから、病院行って来るね。》


《うん、行ってらっしゃい。気をつけてね。》


颯太君か…色々話してくれて。夏海はちょっと、後ろめたかった。
ケータイの中では生活の煩わしさや、人間関係のしがらみもない。
ただ、今の自分の気持ちを文字にして、伝え合えばいい。
颯太だってきっとそう…。
夏海は、ふーっと、長いため息をついた。

午後、颯太からメールがきた。


《ただいまー、帰って来たよ。》


《おかえりなさい。お父さんどうだった?》


《うん、相変わらずさ。それよりさ、LINE交換しない?いちいちスマホの旅ゲーム、開けるの面倒だしね。僕の事心配ならインスタ見て、色々書いてあるから。夏海のは、いつでもいいよ。》


颯太は、LINEとインスタのアドレスを送ってきた。


《わかったわ、そうする。今日は疲れたでしょ?病院て、ただ居るだけでも疲れるよね。ゆっくり休んでね。》


《ありがとう。そうするよ。》


夏海はパソコンに向い、アドレスを入れた。





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