Last note〜特性を持つ者へ
「難波さんて、廣瀬みたいだ。」

俺はつい、心で思ってた事が声に出た。
そんな俺の言葉に難波さんは振り向いた。

「廣瀬、とは?青山くんのなんだ?」

「すいません!その、俺の親友です。中学からの。
なんてゆうか、寄り添ってくれるような
優しさとか、体つきもちょっと似てて。」

そんな事を言うと、難波さんは部屋の何かを
探しながら言った。

「そうか…俺にとっての比嘉特捜部長の
ような存在なんだな。」

そう笑って言った難波さんは、
ある物を見つけたようだった。

「青山、仕事道具のようだ。」

「え?…それ、双眼鏡ですよね?」

難波さんはその双眼鏡で窓の外を見ながら、
ある一点を見つめ、何かに気づく。

「青山、おまえのさっき感じた匂い、
無駄にはならないようだぜ。」

そう言って俺を外に連れ出し、しばらく歩き少し離れた5階建てのアパートに入った。訳も分からずついてきたが、さっきの双眼鏡の先に何が映ったのだろうか?

「難波さん?何を見たんですか?」

「さっき窓から覗いたら、ここの2階の部屋に焦点が合った。恐く被害者は、覗きをして自慰をしていたんだろう。ベランダにあった男物の下着は、女性がよく防犯で使う手だ。」

そう言って、難波さんは2階の204号室のインターフォンを鳴らした。

「なるほど…あれ?ぢゃあもしかして、
難波さんはこの部屋の女性が被疑者だと?」

「そうとは言わんが、何となく事件の鍵に
なるとは思っているよ。」

しーっと人差し指を口にかざし、
住人が出てくるのを待った。

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