Last note〜特性を持つ者へ
そこでまた、"匂い"を感じた。

逃げる女の人の荒い呼吸。

腕から流れる血の匂い。

その時、フワッと体が浮く感覚がした。

""…日芽に手出しすれば、容赦しない…""

柊木日芽とよく似た瞳が見えた。

ーーーー

「難波さん!鑑識を入れてください!
これ、柊木憂莉のものだ!」

顔色を変えた難波さんはすぐさま連絡してくれた。
1歩ずつ、確実に事件の真相に近づいて来てるような気がする。

恐らくフワッと体が浮く感覚は、抱き抱えられたのだろう。柊木憂莉は、美作あきらに何処かに連れ去られたんだ。
まだ無事であればいいが…。

この血痕のおかげでBarの店員も呼ぶ事が出来、被害者と美作あきらが一緒に居た事も店員の証言で明らかになった。

「二人とも大柄で似たようなトレンチコートを着てたから初めは兄弟かと思いましたよ。こっちの男が美作と名字で呼んでいたので同行者なのかなと推理してました。」

店員が人間観察が趣味で良かった。

数時間後、鑑識のおかげで血液検査に繋がり、
柊木日芽のと酷似した物だと判明した。
ここ数日は柊木日芽は保護施設に居たので、遺伝子的にかなり近い柊木憂莉の物となる。

「日芽さんにこの事を報告しなきゃ。矢崎さんから倉庫の場所の特定報告はまだですよね?」

「あぁ、まだだ。とにかく事務所に帰ろう。」

俺たちは再び、事務所へと向かった。

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