Last note〜特性を持つ者へ

烏丸が帰った後、矢崎さんが"Atack"のページを開いた。

「Atack"の特性は、主に利き手の拳に現れる。
所謂、"馬鹿力"だ。
だが、威力はかなり強く、コンクリートの壁をも破壊してしまう程な為に、恐れられている特性の1つでもある。
能力の開花の原因としては遺伝性はなく、
震災での落下物から身を守った時等、防御行為から開花した事例がある。」

「なるほど。通りで"Poison"の尾が粉砕する訳だ」

難波さんが矢崎さんの隣で画面を覗き込んだ。

「あいつもなかなかの闇抱えてそうですね。」

俺がそう言うと、比嘉特捜部長が少し教えてくれた。

「烏丸くんは中学生の頃、火災事故で家族を亡くしてるんだ。特性もその時開花したらしい。
当時消防士だった本田刑事が保護して今の関係に至るんだと。」

「へぇ…となると、私と比嘉特捜部長の関係に近い訳ですね！あの性格ぢゃなかったら、もっと親近感上がるのに…。」

矢崎さんがボソリと言った。

特性を持つ者は、何かしら過去に闇を抱えてる事が多い。
今回の事件もそれを象徴するような動機だった。

「それはそうと青山くん？
レナを1人にする時間を増やすんぢゃないぞ？」

親の表情になり、ニッコリと笑った顔が怖い。

「はい！青山、帰ります！！お疲れ様です！！」

俺は勢いよく立ち上がり、事務所を出た。

比嘉特捜部長もその後、俺の様子を面白がって事務所を後にし、難波さんも身支度を始めたが、矢崎さんが彼のカバンを取り上げた。

「ぢゃ、事件も一件落着って事ですから飲みに行きましょうよ！」

「……ったく、酒豪め。行くか！」

今日はとても穏やかな夜が訪れた…。