俺と君の時間
4.最後の言葉

あれから、パフェの会計を済ませた後、山を登り始めた。


「今日はとても天気がいいね〜」

「本当ですね。俺は今日みたいな晴れた日に風景や空を撮るのが好きです」

踏み出していた足を止めると、首に掛けているカメラを手に取る。

これまで撮ってきた写真を見るためにカメラの操作ボタンを何回も押す。


「その気持ち、あたしも分かるなぁ」


カメラの画面を隣から覗き込む瑠菜さんの表情は柔らかい。



風景は季節によって変わる。そして空も日々動いている。

同じ表情がないから、心が踊る。

それは趣味がカメラになった俺の理由だ。

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