俺のものになってよ
無視された…?
どくん、と心臓が嫌な音を立てる。
青木くんの足音が、どんどん遠ざかっていくのを背中に感じる。
関係ないって突き放されるより、ずっと胸が痛い。
目が熱くなって、視界が歪む。
「ごめんな、藤井ちゃん…」
滲む視界の端で、申し訳なさそうに眉を下げそう謝る三橋くんが見える。
その言葉に首だけふるふると横に振る。
今何か話したら、きっと我慢していたものが溢れてしまいそうになる。
「あいつさ、あんなんだけど藤井ちゃんのこと結構気に入ってたと思うよ。少なくとも俺にはそう見えた。今はちょっと機嫌悪いだけだと思うから、あんま気にしないで?」
眉を下げて、申し訳なさそうにあたしを見てそう言うと「湊!」と彼のあとを追っていった。
さっきの言葉は、三橋くんなりの優しさなんだと思う。
でも今は、何を言われてもズキズキと胸が痛むだけだ。
青木くんのことがわからない。
どうして急に突き放すように冷たくなったの?
さっきまで近くにいたはずなのに
その距離が、ありえないほど遠い。
ぐっと拳を握り締めて、しばらくそこから動けなかった。