俺のものになってよ
傷つくのが、怖かった。
臆病で逃げたんだ。あたしは。
あーあ、答えなんてとっくに出てたんだ。
「っ…、あたしっ…」
気づいてしまったら、もう後戻り出来ない。
「美玖…行ってくるっ!」
「…うん、早く行きな!」
どこかなんて、頭で考えるよりも先に足が動いて。
でもその足取りは、いつもより心做しか軽かった。
ただただ走って、駆け抜けた。
校舎をでると、少し離れたところに見慣れた茶髪が見える。
見間違えるはずもない。
彼にめがけて、一直線に走り抜ける。
「っはぁ…待って…っ」
息切れをしながらも、必死に追いかける。
「待っ、て…青木くんっ…!!」
ぐいっとその背中に手を伸ばし、シャツを引っ張る。
「…っわ」
珍しく焦ったような声が聞こえて、彼はあたしの方を振り返る。