俺のものになってよ
* * *
「ねえ、俊はこれでいいの?」
駆け足で出ていった少女の姿をじっと見つめていた彼は、声の主の方へと顔を上げる。
「あ?何がだよ」
「芽依のことに決まってんでしょ、このまま諦めるの?」
ずっと想ってきた人。
彼女はただの幼なじみとしてしか見てなかったみたいだけど。
もう、きっぱり振られた。
きっと、入り込む隙なんてない。
あいつは、本気で青木のことが好きなんだ。
「ああ」
そう返事をして目を伏せる。