俺のものになってよ




「…思わせぶりなことしたなら謝るよ。でも、俺は君にそういう感情は一切ない。だから、付き合えない。変に期待させたりして…本当にごめん」






そう言って頭を下げた。




この状況でも一切動揺していない様子だ。


あたしならあんなに冷静じゃいられない。





王子の対応っぷりに思わずぽかんと呆気に取られていると、


そんな王子の姿を見た彼女の瞳が揺れる。





「でも、青木くん彼女いないんでしょっ?だったら、あたしとお試しで付き合うって言うのはどう??もしかしたら好きになってくれるかもしれないしっ、ねぇだめ、!?」






食い下がるようにそう縋り付く。


そんな答えが返ってくると思っていなかったのだろう、青木くんの瞳が微かに見開かれる。




あたしもこの場にいてどうすればいいのかわからない。





すると、またしても彼女が口を開く。



「彼女、いないんだよね?ねえお願い。あたしじゃどうしてもダメ…!?」




< 15 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop