俺のものになってよ
「…思わせぶりなことしたなら謝るよ。でも、俺は君にそういう感情は一切ない。だから、付き合えない。変に期待させたりして…本当にごめん」
そう言って頭を下げた。
この状況でも一切動揺していない様子だ。
あたしならあんなに冷静じゃいられない。
王子の対応っぷりに思わずぽかんと呆気に取られていると、
そんな王子の姿を見た彼女の瞳が揺れる。
「でも、青木くん彼女いないんでしょっ?だったら、あたしとお試しで付き合うって言うのはどう??もしかしたら好きになってくれるかもしれないしっ、ねぇだめ、!?」
食い下がるようにそう縋り付く。
そんな答えが返ってくると思っていなかったのだろう、青木くんの瞳が微かに見開かれる。
あたしもこの場にいてどうすればいいのかわからない。
すると、またしても彼女が口を開く。
「彼女、いないんだよね?ねえお願い。あたしじゃどうしてもダメ…!?」