俺のものになってよ
じっと俺の話を聞いていた彼女は、まるで自分が傷ついたかのようにその綺麗な顔を歪ませた。
このことを言いたくなかった理由は過去を知られたくないって言うのもあったけど、彼女がこうやって俺の話を聞いて心を痛めてしまうことがどこかでわかっていたから。
ほんと、優しすぎなんだよ、藤井さんは…
「ねえ、藤井さんは俺のことが好きなの?」
そう彼女に問いかけると、少し目を見開いた彼女はやっぱり真っ直ぐすぎるくらいに俺を見つめた。
「うん、好き…」
顔を赤らめてそう言う藤井さんに、じわりと胸の奥が熱くなる。
あぁ、もう、可愛すぎだろ…
「じゃあさ────…」
彼女の耳元でそっと囁く。
「……!!!」
ボンッと火がつくように赤くなった顔を見つめて、思わず吹き出しそうになる。
ほんっと、この人分かりやすすぎ…
そんな彼女が堪らなくて、胸がぎゅっと甘く締め付けられる。
あー、俺はもうとっくにこの人に心を奪われていたのかもしれない。
いつでも真っ直ぐすぎるくらいに想いをぶつけてくれる、この人に…────