俺のものになってよ
「えっ、誰かいたの…?」
これはもう、逃げられない。
だってあたしと彼女達以外、ここには誰もいない。
「っ、」
こんなところに、彼女なんているわけがないよ。
────コツリコツリ
足音はあたしの方へと近づいてくる。
バレてしまった以上、仕方がない。
ってなんか犯人みたいだなあたし。
なんて馬鹿なことを考えながら、恐る恐る足を一歩踏み出す。
そして顔を上げると
真っ直ぐにあたしを見つめる王子様と目が合った。
ビー玉のように綺麗な瞳と視線が交差して、思わず吸い込まれそうになる。
あまりにも綺麗な顔立ちに、一瞬息が詰まる。まるで何かに捕われたようにその場から動けず、ただじっと彼を見つめる。
すると、ふわりとあたしの肩を引き寄て
「この子が俺の彼女」
風で運ばれた甘い香りとともに、とんでもない爆弾発言を落とした────