俺のものになってよ
「けど、藤井さんのおかげで向き合えたんだと思う…」
由梨さんのしたことは、確かに酷いことだ。
でも、青木くんのことを好きになったのも事実だった。
ほんとに後悔してたんだと思う。
「俺、なんだかんだで藤井さんに助けて貰ってばっかな気がする」
「…ううん、そんなことないよ」
「──────…ありがとう、藤井さん」
「…っ」
目を細めて穏やかな笑みを向けられる。
その表情は、もう過去から吹っ切れたような…そんな顔。
あまり見ることが出来ない、貴重な笑顔だ。
しっかりと目に焼き付けておこう。
それに、あたしは大して何かしたわけじゃないし。
けど、青木くんも前に進めたよね。
もう一度彼を見上げると、やっぱりもうスッキリとした顔をしている。