俺のものになってよ
「なんで泣いてんだよ」
「だってっ、好きじゃないって…!」
「あぁ、ごめんごめん。そういう意味じゃなくて…」
「じゃあどういう意味…?!」
思わず強い口調でそういうと急に引き寄せられ、気づけば彼の腕の中にいた。
甘い香りが鼻いっぱいに広がる。
「あ、おきく」
「すげぇ好き…」
名前を呼び掛けた時、あたしの肩に顔を埋めてそうぽつりと呟いた。
熱い吐息が首にかかって少しくすぐったい。
「好きだけじゃ、全然足りない」
より一層、抱きしめる腕に力がこもる。
苦しいはずなのに、それがどうしようもないくらい嬉しくてたまらない。
「青木くん…」
そっと背中に手を回すと、一瞬ピクっと体が揺れたのがわかった。