俺のものになってよ
…え?何、今の声。
ここにいるのはあたしと青木くんのふたりだけ。
もちろんあたしの声じゃない。
つまり、隣のこと人しかいないわけで。
でも、青木くんだよ?
いやいや、まさかありえな────「ほんと面倒くさいよね、ああいうの。さっさと諦めろっての、空気読めないのかな」
はっ、と嘲笑い冷たく吐き捨てるようにそう言ったのは間違いなく目の前の彼。
……あれ?
え?誰この人は。
青木くんと同じ顔をしてるけど、いつもの王子の数倍口が悪い。
そっくりさんとか?
そう思って彼を見つめると
「なに見てんの?ていうかさ、あんたここで何してたの?覗き見なら相当趣味悪いよ」
────ぽかーん
眉間に皺を寄せながらそう言われ、思わず間抜け面になる。
普段の彼とのあまりの違いに開いた口が塞がらない。
この人、ほんとに青木くん?