俺のものになってよ


「なんだよ、知ってたのか」


「うん、美玖から聞いた」


「そっか…」


俊はその時のことを思い出すかのように話し出す。


あたしはそれにじっと耳を傾けた。



「告白されたときさ、一瞬マジで相手間違えてんのかと思った。だけど俺、美玖のことそーいう風に見た事なくてさ…」


「…うん」


「けど、好きだって言ってくれたとき、素直に嬉しかったんだよな」


その瞳が少しだけ細められる。


「いつもはズカズカ人の心ん中踏み込んでくるくせに、いざって時は…何も言わずにただ隣にいてくれた」


その声色は、今まで聞いたことがないくらい酷く優しい。


ねえ、俊。


今、自分がどんな顔してるか分かってる?


気づいてないの?






< 227 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop