俺のものになってよ
気づけば夕方で、あっという間だった。
このまま楽しいデートで終わるはずだったんだけど
「いい加減にしてよ!」
少し前の方で、言い合いをしている男女の声が耳にとまる。
あれ、あの人…
女の人の方には見覚えがあった。
「…遥先輩?」
そう声を発したのは、青木くんだった。
少しだけ、ちくりと胸が痛むのを感じた。
彼女のあたしは苗字なのに、先輩のことは名前。
小さなことかもしれないけど、あたしには大きな差を感じた。