俺のものになってよ
さっきまでの可愛い先輩はどこへやら、低い声でそう言って睨みつけられる。
「え?何でですか?」
「なんでって、あたしの方が湊とお似合いだから?」
なんで疑問形?
目の前の先輩は、いつものふわふわで守りたくなるような可愛い人じゃない。
不気味に口角を上げて、目はあたしを睨むようにして立っている。
「それに、こないだあたしが告白されてる時、聞いてたでしょ?」
「…はい、たまたま聞こえちゃって」
「じゃああたしの本性も知っちゃったんじゃない?」
「それが、先輩の素ってことですよね」
「ピンポーン」
にこりと笑ってOKマークをつくる先輩。
可愛いのに、あたしには恐怖でしかない。
一歩だけあたしの近くに足を進める。
「ねぇ、湊とあたしの方がお似合いだと思わない?だからさぁ、あたしにちょうだい?」
上目遣いでそんなことを言う先輩。