俺のものになってよ


きっとあたしが男だったら、簡単に騙されちゃってたんじゃないかな。


それくらい遥先輩は可愛い。


だけど



「それは出来ません」



湊の彼女はあたしだ。


たとえ先輩でも、怯まない。


はっきりそう言った瞬間、先輩の顔が歪む。



「はぁ?あんたよりあたしの方が可愛いし湊と釣り合うと思うんだけど〜?」


「だとしても、それは先輩が決めることじゃありませんから」


「っ、ほんと生意気。いいから譲りなさいよ」



「それに、湊はものじゃありません。そういう言い方しないでもらっていいですか」



目の前の先輩を負けじと睨む。


バチバチと火花が散っている気がする。


何かされたらどうしようって、本当は少し足が震えてる。



でも、ここで折れたら負けを認めることになる。



あたし、ちょっとは強くなれたかな。



そんな気がするよ。





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